神能演目解説

佐太大神

大社(おおやしろ)
前段 出雲國佐陀の社には様々な御神秘があるということを帝がお聞きになり、朝廷に仕える臣下が勅命を受け佐陀大社に下向します。臣下は社頭で老人に出会い、社の縁起と神無月の由来を尋ねます。老人はその問いに答えるといつのまにか姿を消してしまいます。(この老人は御祭神である佐太大神が老人に姿を変え現れていたのでした。)
後段 神姿の御祭神佐太大神が現れ舞を舞います。すると空には黒雲がたなびき、雨風とともに音楽が聞こえはじめ龍神が宝の御箱を持ち現れます。龍神は大神の前に進み、御箱から龍蛇神を捧げ、空中に帰って行きます。龍蛇神を受け取った大神は「八百万神の父母は我なり」といって佐陀大社の社殿の中にお入りになります。
真切女(まきりめ)
前段 法度命(はっとのみこと)に仕える神主が、大昔、摂津国に天降り、天照大神の磐戸開きの時に使われたという鞨鼓(かっこ)を祀る鼓の瀧を訪ねます。
後段 日が暮れると瀧の岩間より、輝く御幣と鼓を持った神が現れ、鼓の由来を物語り、切女命(きりめのみこと)であることを名乗ると姿を隠します。
恵比須(えびす)
前段 出雲國素鵝(すが)の里、御歳の神主が都へ行くついでに、津國西宮に詣でます。西宮に着き、社の子細を尋ねようとしていると、蛭子尊(ひるこのみこと)が現れて由来を物語ります。
後段 蛭子尊が豊饒(ほうじょう)の海で魚を釣り、やがて光り輝きながら夕暮れの西宮の御殿にお入りになります。
八幡(やわた)
前段 石州大森の神主が、須佐の大宮の遷宮に詣で、白檀の弓に鏑矢を採り舞うのを見ていわれを尋ね、「寸善尺魔(すんぜんしゃくま)」を鎮める舞であることを教えられます。
後段 遷宮を行っていると、空から八幡の神が現れ、悪魔を鎮めて帰ります。
磐戸(いわと)
前段 神官が現れ、素盞鳴尊の悪行に怒った天照大神が天の岩戸に身を隠されたので、世の中が真っ暗闇になってしまったことを語ります。
後段 湯釜を立て、若宮臣(わかみやのしん)、玉鉾臣(たまほこのしん)、鈿女命(うずめのみこと)を招いて岩戸の前で神楽を奏し、手力雄命(たじからおのみこと)が岩戸を開き、世の中が再び明るくなります。そして太玉(ふとたま)と兒屋根(こやね)の両神が素盞鳴尊を根の國に追い払って、国土が静かに治まります。
厳島(いつくしま)
前段 出雲國の宇乃命(うのみこと)に仕える神主が、厳島神社詣でを思い立ち、安芸國草津で釣人に便舟を頼みます。釣人があまりにも神々しいので舟を降りた後、振り返ると、釣り舟が輝く御殿に入っていきます。
後段 巫女が湯立神楽(ゆだてかぐら)を奏じていると、宮人に混じって祭神が聴いています。

スサノオ

日本武(やまとだけ)
前段 東夷征伐(とういせいばつ)の勅命を受けた日本武命が伊勢に倭姫命(やまとひめのみこと)を訪ねます。姫から素盞鳴尊が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した時に尾先から出てきた天叢雲剣(あめのむらくものけん)と燧石(ひうちいし)を授かります。
後段 駿河國についた日本武命は待ち受けていた東夷(あずまえみし)の火攻めに合います。倭姫命から授かった天叢雲剣の霊力で草を薙ぎ払い、燧石で火をつけ東夷を滅ぼします。この後、剣は草薙剣(くさなぎのけん)と呼ばれ熱田神宮に納められたという由来を物語ります。
三韓(さんかん)
三韓は、神功皇后(じんぐうこうごう)が武内宿祢(たけうちのすくね)を伴って、異国に渡り戦ったという「日本書紀」の物語に取材した演目です。
前段 異国遠征を前に武内宿祢と神功皇后が社に詣でると神主、巫女は御神楽と祝詞を奏上し武運長久を祈ります。
後段 武内宿祢と神功皇后が異国の王と戦い、異国を平らげます。
住吉(すみよし)
前段 住吉の神に仕える神官が住吉神の出現ときたん奇譚と御神徳を語ります。唐代の詩人李白が日本を目指し、船中で漢詩を詠むと船頭が和歌で返します。李白はその歌の出来栄えに驚き、唐へ帰ってしまいます。
後段 住吉の神が、天下泰平国家安穏五穀成就の舞を舞います。
武甕槌(たけみかづち)
神話の国譲りに取材した演目です。
前段 天照大神(あまてらすおおかみ)の命によって武甕槌神(たけみかづちのかみ)が大己貴命(おおなむちのみこと)に国譲りを迫り、大己貴命は宮所を定めることを条件に国譲りを承知します。
後段 国津神(くにつかみ)<武御名方命(たけみなかたのみこと)>が現れ、天津神(あまつかみ)<武甕槌神>に戦いを挑みます。やがて、天津神が勝ち、国が治まります。

大蛇

八重垣(やえがき)
素盞鳴尊(すさのうのみこと)の八岐大蛇退治を題材にした演目です。
前段 素盞鳴尊に仕える臣下が登場し八重垣の由来を物語り、御垣の前に毒酒を置き、素盞鳴尊は御垣の横に身を隠します。
後段 毒酒を飲んだ大蛇は、素盞鳴尊に退治されます。このとき大蛇の尾先からあ天叢雲剣(あめのむらくものけん)が出てきます。その後、日本武命(やまとだけのみこと)によって東夷征伐に用いられ草薙の剣(くさなぎのつるぎ)として熱田神宮に納めたれたことを物語ります。

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